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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)2044号・昭42年(借チ)2023号 決定

〔主 文〕第二、〇四四号事件相手方洲崎フヂは、同事件申立人清水ミチヱ他五名に対し、別紙目録記載の建物及び借地権を、金二〇〇万円で売渡すことを命ずる。

洲崎フヂは、右清水ミチヱ外五名に対し、本件建物の所有権移転登記手続をなし、かつ、右建物から同居人を退去させた上で、これを引渡すこと。

右清水ミチヱ他五名は、洲崎フヂに対し、各自金二〇〇万円を支払うこと。

前第二及び第三項の各債務は、互いに同時履行の関係にあるものとする。

〔決定理由〕1 鑑定委員会は、本件土地の更地価格を三三八万九、四〇〇円(三・三平方米あたり一八万円)、建付地減価をした価格を三一四万五、三四五円、借地権価格をその三分の二と評価した上で、借地権の存続期間の点を考慮外とする前提のもとで、右借地価格より承認料相当額一〇%を控除した一八八万七、二〇六円をもつて、賃貸人に譲渡する場合の借地権価と認め、建物の価格を二四万四、〇五五円と評価している。従つて、右意見による対価は、合計金二一三万一、二六一円ということになる。

2 当裁判所は、右鑑定委員会の意見を参考とし、その意見書にあらわれた資料及び前認定の事実を基礎として、次のとおりに考える。

借地人が本件建物及び借地権の取得について投下した資金は、昭和二七年に約一〇万円と昭和二九年頃増築による約三〇万円(本件建物の復成価格と木造建物建築費指数を綜合して概ね上記金額とみることができる)と認められ、これを消費者物価指数によつて現在の価額に換算すると約六五万円と認められる。ところで、鑑定委員会の意見によれば、本件借地の借地権価格は約二一〇万円になり、本件建物の価格は約二四万四千円であるから、その合計約二三五万円と前記六五万円との差額一七〇万円は、昭和二七年から現在までの間の土地価格の高騰に伴なう計算上の利益とみることができる。借地人が借地権及び建物を譲渡するにあたり、右利益を独占することは、土地賃貸借関係の現状のもとでは必ずしも相当とはいいがたく、衡平の見地からそのうち若干を賃貸人に還元することが適当というべきである。

そこで、この賃貸人に還元すべき金額を算出することになるが、本件においては、先づ借地権の残存期間は前示のとおり約一四年間ということになるので、借地人において借地権を譲渡しない限りは、約定期間二〇年のうち、残り一四年間は借地権を保有できるのであるから、前記一七〇万円の二〇分の一四にあたる約一二〇万円は借地人において取得できるものとして控除する。次に、一四年後の期間満了の時まで借地人が借地を使用したと仮定した場合における更新の有無の点を現時点において判断することは、不可能というべきであるが、現在における双方の事情のまま推移すると仮定すれば、借地人にその投下資本の回収を認めることを条件として賃貸人による更新の拒絶を認めることは衡平な措置として是認できると考えられる。このような点を考慮し、残額五〇万円のうち七割にあたる三五万円をもつて賃貸人に還元すべき利得分とするのが相当であると認める。

従つて、賃貸人による本件建物及び借地権の買取価格は、前記二三五万円から右三五万円を控除した金二〇〇万円をもつて相当とする。

なお、本件建物には大竹秀司、中村鎮夫の二名の同居人が居住しているが、両名とも洲崎に対して建物譲渡の際それぞれその占有する室の明渡を承諾していることが認められるので、洲崎と賃貸人との間で本件建物の売買が成立したときは、洲崎において右同居人の退去を得た上で本件建物を引渡すことが相当である。

以上により、主文のとおり決定をする。(西村宏一)

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